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ホットなロマンスといえば! BDSMは「そこに愛はあるか」が面白さを左右する

「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」が朝の情報番組でも紹介されるほど世界中でヒットを飛ばしたのが、たしか2014年ごろ。

こばとは、完全にあなたの知らない世界、でした。
SとかMってワードはイマドキ小学生も口にしてるくらいだけど、「BDSM」ってなんぞや。
どうやら支配する側と、服従する側になる、性愛関係のことらしい。(間違っていたらごめんなさい)

「フィフティ~」ヒットの影響か、いやその前から人気に火がついていたのか、
ハーレクインからも同じテーマの作品がいくつも出ています。
エロティカという、モノクロの表紙のシリーズが出ていますが、その中にもちらほら。

描写がかなり過激な作品もあって、どうしても抵抗を感じる人もいると思うので、ご注意ください。
個人的には、いくつか読んでみて、ホットなシーンだけで終わりじゃなくて、二人の心のふれあいも描かれているか、が面白いと感じるカギだなーと思いました。やっぱり、愛がなくっちゃね♡

ちなみに、こばとの入門はこの1冊!

★★★★★
天才富豪とローリーの真夏の約束
作:ヴィクトリア・ダール 訳:琴葉かいら
(ハーレクインMIRA文庫)

天才富豪とローリの真夏の約束

天才富豪とローリの真夏の約束

[著]ヴィクトリア・ダール [翻訳]琴葉かいら

この本で、あえてマイナスをつけるとしたら、おつむとお尻の軽そうなタイトルと表紙!(あえてこういうキャッチーなトーンにしたんだとは思うけど)

亡くなった父の跡を継いで、自動車整備工場を切り盛りするヒロインが主人公。父親の死が、事故ではなく殺人では?という物語の軸がしっかりあって読ませるし、夢をあきらめて家業を継いだヒロインの葛藤には、思わず感情移入してしまいます。

さ・ら・に!

親友のお兄さん、天才肌の実業家とのホットな恋も描かれていて、もうお腹満腹の1冊なんです。
ヒロインの趣味が、ちょっとセクシーなロマンス小説を読むことで、ヒーローにセクシーな願望を打ち明けて、セーフワードを決めて挑む(笑)というシーンがあります。

そんなにハードな内容ではないので、ちょっと興味あるわ、という入門にぴったりだと思います。お試しあれ♪

★★★☆☆
モリーの言えない秘密
作:ヴィクトリア・ダール 訳:琴葉かいら
(ハーレクインMIRA文庫)

 

モリーの言えない秘密

モリーの言えない秘密

[著]ヴィクトリア・ダール [翻訳]琴葉かいら

こちらは「天才富豪とローリの…」に出てくるヒロインの親友=ヒーローの妹が主人公。

生まれ育った田舎町に帰って来て、ちょっとSMチックな小説を書いて暮らしているヒロインと、ヒロインの兄の親友で、警察官のヒーローの恋愛ストーリー。

描いている小説の内容が知られてしまって、ヒロイン自身もSMの嗜好…?とヒーローに警戒されるところとか、うわー、ありそう、って思っちゃう。
男の子がアダルト動画見て、女っていやいや言うけど喜んでるんだろ、って勘違いしちゃうのと通じるというか。

ロマンス小説のなかの性的な描写はあくまでもファンタジーというか、女性のリアルでの希望は別!の場合が多いのではと思います。

正直、小説としては、ものすごく面白い!っていうわけではなかったかも。ただ、「モリ―の言えない秘密」を読んでから気になっていたのが、ヒロインが書いている小説!
実はこれも、読めるんです。ものすごく秀逸な短編でした。

★★★★★
誰にも言わないで
作:ヴィクトリア・ダール 訳:藤峰みちか
(ハーレクインMIRA文庫「彼女たちの麗しき恋事情」収録)

 

彼女たちの麗しき恋事情

彼女たちの麗しき恋事情

[著]ローリー・フォスター : スーザン・ドノヴァン : ヴィクトリア・ダール [翻訳]皆川孝子 : 北園えりか : 藤峰みちか

人気作家ローリー・フォスター他3作品が読めるお得なアンソロジーのなかの、1編です。

舞台は西部開拓時代、町の保安官ヒーローが、家の隣に新しく越してきた未亡人と親密な関係になって…というお話です。お話の中にBDSMという言葉は登場しないんですが、保安官はある自分の願望を自覚していて、悩んでいる。かたや未亡人ヒロインは、夫を亡くして、保安官のような人を求めているわけです。

上の2作よりも、ホットなシーンはいわゆるBDSMよりだと思います。ただ、そんなに過激ではないです。お互いを求める二人の戸惑いや、情熱もしっかり描かれていて、とても好きだなと思った作品です。

比較的、軽いタッチの作品を紹介してみましたが、「で、結局BDSMってどういう世界なのよ?」っていう方には、こちらもおすすめ。


コミュニケーション能力0の天才物理学者ヒーローに、同じマンションに住むヒロインが人付き合いのいろはをレクチャーします。そのうち二人は親密な雰囲気に。ただし、ヒーローが望むのは特別な関係で…というお話。ごくごく普通のヒロインが、ヒーローに恋をして、BDSMのレクチャーを受けます。
天才なのに生活力のないヒーローが、ものすごく魅力的。ただし、ホットなシーンはやや過激でした。読むのに抵抗がある人もいるかも。ご注意ください。

ちなみにこばとは、Kindle Unlimitedで読みました。
30日間お試し無料なので、期間内に解約すれば、実質0円で読めちゃいますよ♪

Kindle unlimited 30日間無料
月額¥980で読み放題

 

最後にちょこっと、余計な考察

この間、マヤ・バンクスの「消えない愛のしるしを」を読んだんですが(これもBDSMがテーマで、かなりハード)、ヒロインの女性が「誰かに支配れたいのよ。決定をゆだねたいの」って打ち明けるシーンがあって。

もちろん、これはあくまでお話で、いってみればファンタジーなんですよ。
現実とは違います。
でも、こういうお話が欧米で人気って、なんだか考えてしまいました。

ヒストリカルを読むとわかるけど、ほんの120年とか、そのくらいまえは、女性って男性の財産のひとつだったわけです。
そこから、男性と平等に働いて、ときにリーダーシップをとって、対等に評価されるまでになって、歴代の女性たちの努力たるや、本当にすごい。でも時には疲れたり、弱気になったり、することもあるよね。

そんなときに、ヒストリカルのロマンチックな恋とか、こういうちょっとハードな恋とかが、大人のファンタジーとして、癒しのエッセンスになるのかもしれませんね。

だからやっぱり、ホットなだけじゃなくて、そこには愛があってほしいなと思うのでした。