レビュー

「白い奇跡 恋人たちのクリスマス」R・グレアム/ P・ジョーダン他(MIRA文庫)★あらすじと感想★

2018年のクリスマス・アンソロジーは、豪華でしたね!
リン・グレアム&ペニー・ジョーダン&もう1作が1冊に。

ハーレクインの公式サイトで予告が出たときから気になっていたのですが、クリスマスもお正月も明けたころに書店で見かけて、やっぱり表紙がステキだわー♡と手にとって思わず購入(遅い!)しちゃった1冊です。

★★★☆☆
「白い奇跡 恋人たちのクリスマス」
作:R・グレアム/ P・ジョーダン他
(MIRA文庫)


白い奇跡 恋人たちのクリスマス (MIRA文庫)

メインはペニー・ジョーダン「クリスマスに見た夢は」

【あらすじ】

届かなかったプロポーズ…
住み込みの庭師として働くアンバーはある日、雇い主の客として家を訪れた実業家ロッコと再会。2人は以前交際していたが、アンバーがマスコミに2人の情報を流したと誤解したロッコに冷たく捨てられたのだった…アンバーのお腹には彼の子どもがいたのに。

クリスマスに見た夢は…
恋人の両親とクリスマスを過ごすためにふさわしい服を探していたリサは、リサイクルショップで掘り出しものの高価なブランド服を見つけてまとめて購入する。ところが、その服は間違って売られたものなので、買い戻したいという男性オリヴァーがあらわれ、トラブルに。
さらにオリヴァーとリサはクリスマスに恋人の家で思いがけず再会してしまう。

クリスマス・ローズを捜して…
19世紀英国。スキャンダルに巻き込まれたローズは田舎の親戚の家でひっそりと過ごしていたが、パーティの客サー・マイルズは彼女の悪評を知っていて、ローズは自分の居場所を失ってしまう。

本の裏表紙や公式サイトではリン・グレアムの「届かなかったプロポーズ」のあらすじが紹介されているんですが、ページ数的にボリュームが多いのは「クリスマスに見た夢は」でした。

【感想&ネタバレ】

リン・グレアムとペニー・ジョーダン。ロマンス界の巨匠2人の作品が読めるなんて♡と思ったけれど、リン・グレアム「届かなかったプロポーズ」はちょっと肩すかしだったかなー。
ヒロインは子どもをお姉さんに預けて住み込みで働いているという設定で、シークレット・ベビーの存在があまり活きてなかったかも(でも、ヒロインのお姉さんとのエピソードのための布石だったのかな)。
ヒーローはヒロインが大好きで、だからこそマスコミに売られたと思ってかっとなってしまった…という誤解が溶けてハッピーエンド。

ペニー・ジョーダンの「クリスマスに見た夢は」がこの本の中では一番ボリュームのある作品で、読み応えあり。仕事で世界中を回っている両親のもとで育ったヒロインは、古典的で安定感のある家族にあこがれを抱いていて、古典的な恋人とその両親(どちらもイマイチ)に合わせようとムリをしているんだけれども、ヒーローのオリヴァーと出会って本当の愛に目覚めていく…というお話です。
最悪な出会いをしたオリヴァーとリサが、反発し合いながらもバチバチ惹かれ合ってお互いが大切な人になっていくようすが、ペニー・ジョーダン独特の上品なタッチで描かれています。

ポーラ・マーシャルの「クリスマス・ローズを探して」は、ちょっとしたことで女性が評判を失ってしまうと、家族や親戚からもつまはじきにされちゃってもうまともな人生は送れなくなってしまうという時代のお話。(いえ、ヒストリカル好きなんですけどね)
田舎ならだれもあなたのことを知らないからと親切ぶって家に招いてくれたいとこが、客がヒロインのスキャンダルを知っているとなったら夜中に追い出しちゃうとか、「おしん」もまっさお。逆境ヒロインの運命やいかに。

迷わずチェック!ハーレクイン・アンソロジー

個人的にハーレクインが何作か1冊にまとまっているアンソロジーは、とってもお得&良作が入っていることの多いねらい目だと思っています。
シーズナル作品をセレクトしたアンソロジーはクリスマスのほかにバレンタインとサマー・シズラーがありますが、クリスマスはとくに良作が多い気がしています。これはハーレクインの生まれたお国柄、クリスマスがとても大切な行事だということにも関係しているのかな。

「聖なる夜にあなたと(2007年)」のなかに、リンダ・ハワードの「流れ星に祈って」の関連作「クリスマスの青い鳥」が収録されていたりとお宝作品が入っていたりも。
ほんと、あなどれないんです。ハーレクインのアンソロジー。

こばとのお気に入りはこちら!
2016年のクリスマス・アンソロジーです。


今宵、聖夜の花嫁に (MIRA文庫)

ライム・ブックスの看板作家メアリ・バログの短編「金の星に願いを」がとってもよかった!
牧師だった父親を亡くし、病気の妹のために踊り子として働くヒロイン(家族には貴婦人のコンパニオンをしていると嘘をついている)と、遊びつくしてそろそろ身を固めようか…という貴族のヒーローが交わしたクリスマス期間限定の愛人契約

独身最後のお楽しみに、難攻不落といわれたヒロインを愛人にして、田舎のお屋敷で思い切り怠惰なクリスマスを過ごそうと思っている子爵。だけど、連れて行った女性は実は男性経験ゼロの良家のお嬢さんなんです。
犠牲的にベッドでのお勤めを果たそうとする姿に興ざめしたり、かと思えばいつの間にか使用人を味方につけてクリスマスのしつらえを整えるようすに感服してみたり。
愛らしく心やさしく、知性あふれるヒロインに子爵が魅了されていくようすがテンポよく描かれていて、何度も読み返しました!

お気に入りは、雪で立ち往生した牧師さん一家の奥さんが産気づいて、ヒロインが見事に赤ちゃんを取り上げるシーン。みんなが怖気づくところをテキパキしきっちゃうヒロイン、もはやかっこいい!

「今宵、聖夜の花嫁に」はまだ新刊も手に入るようですが、「金の星に願いを」だけ電子書籍で読むこともできます♪

金の星に願いを

金の星に願いを