ジュリア・クインを読むなら、まずはここから♪
こばとのおすすめランキング
壁の花ヒロインには隠れた魅力が…というのはよくある話。でも、このお話はヒロインの仕事上の才能にヒーローが嫉妬しつつ惹かれていくという、ちょっと変わったストーリー。読み応えあり!
放蕩者として有名な公爵と恋に落ちる妹(ヒロイン)のために、決闘を申し込んじゃう兄たち、興味津々の妹&母、ブリジャートン・ファミリーの魅力全開の1冊。
裏切られ、愛を信じなくなってしまった男性を愛してしまったら…。ぐいぐい読ませるドラマティックな1冊。
今も新刊が出ると書店で平積みになっていることも多いジュリア・クイン。安定した人気のあるロマンス作家さんの一人ですよね。
ということでまずはブリジャートン・シリーズを詳しくレビューしていきます!
ブリジャートン・シリーズを読まずに、ジュリア・クインは語れない!
発刊順が日本とアメリカで少し違うようですが、ブリジャートン・シリーズはブリジャートン子爵家の8人兄弟がそれぞれ、深く愛し合っていた両親のような、真実の愛を見つけるまでがテーマ。恋に落ちた順にご紹介します。
「恋のたくらみは公爵と」
★★★★★
【あらすじ】
長女ダフネの物語。ダフネは兄3人に続く兄弟の4番目、社交界デビューして3年目。今年には求婚者が現れないと困る…というシーズンを迎えるところです。恋に落ちたのは放蕩者と悪名高いヘイスティングス侯爵、サイモン。
結婚したくないサイモンと、サバサバした性格のせいで男性から恋愛対象に見られにくいダフネ、お互いにメリットを求めて計画した「恋に落ちたふり」だったのだけれど…。
サイモンが結婚したくない理由がこの物語の肝。子どものころ吃音があり、そのせいで父から認められなかったことを恨んで、跡取りを設けないことで父へ復讐しようとするサイモン。それを知らずにサイモンを愛し、結婚したダフネは、子どもをあきらめきれず…。
吃音という難しい問題を背負ったヒーローを、かっこよく描き切ったジュリア・クインの筆力は見事!
【感想】
男兄弟にもまれてサバサバしているという設定のダフネとサイモン、ブリジャートン・ファミリーとのテンポのいい会話は、ジュリア・クイン節という感じで、読んで気持ちのいい1冊でした。こばとのおすすめ度は★5つ!
ラズベリーブックス(2008/1/10)
「もう一度だけ円舞曲(ワルツ)を」
★★★★☆
【あらすじ】
次男ベネディクトの物語。気が進まず参加した友人のパーティで、メイドのソフィーが乱暴されそうになっているのを助けたベネディクト。家に連れ帰って母ヴァイオレットのメイドとして新しい働き口を世話するが、彼女は訳あって家を追われた伯爵家の婚外子で…。
【感想】
過去に一度だけ参加したことのある仮面舞踏会でベネディクトと踊ったことのあるソフィー。ベネティクトはそのとき踊った女性を心で追い求めながらも、同一人物とは知らずにソフィーに惹かれていく。
王道のシンデレラストーリーかと思いきや、身分の差が障壁となって2人の間に立ちはだかります。その時代には当然のことだったのだとは思うけれど、婚外子というだけで義母から苛めぬかれるソフィーと、そんなソフィーを求めながらも(結婚相手ではなく)愛人に据えようとするベネティクトという設定に、ヒストリカル初心者の当時は少し抵抗を感じてしまったものでした。ということでひとつ★を減らして★4つに。
でも、舞踏会で出会った女性とメイドのソフィー、2人の女性に惹かれる自分に悩むなんて、ベネティクトは十分すぎるくらい誠実な人だよね、と今なら思う。
伯爵夫人から窃盗で訴えられた牢獄のソフィーを助け出すシーンのベネティクト&ヴァイオレット。母は強し!
読み返してみるとベネティクトはアンソニーみたいに堅苦しくなく、コリンみたいに弟気質でもなく、安定のモテ男ぶり。
シリーズの中でも人気の高い作品のようで、日本ではこれがブリジャートン・シリーズで最初に出版されたようです。
ラズベリーブックス(2007/6/9)
不機嫌な子爵の見る夢は
★★★★★
【あらすじ】長男アンソニーの物語。子爵家の家長としてそろそろ結婚して跡取りを設けなくてはと考えたアンソニーは、シーズン1の美女エドウィーナに求婚することを決意する。けれど、アンソニーのような放蕩者は大事な妹にふさわしくないと、ことあるごとに姉のケイトが邪魔をして…。
マレット(クリケットみたいなゲーム)で、アンソニーとケイトが本気で競い合うシーンが楽しい。おめでたのダフネ&サイモンも登場します
【感想】
アンソニーが求める結婚相手の条件は、美人で頭がよくて、心から愛してしまうことがない女性。その理由は、アンソニーが抱える父の死にまつわるトラウマにあり…。一方ケイトも母の死にまつわる心の傷を抱えていて、2人が結婚後にはじめてお互いの苦しみに気がついて、心の傷を乗り越えるまでが描かれています。
カップル2人ともトラウマを抱えて…という後半やや重たかったのですが、こばと自身も長男・長女夫婦なので、まじめな2人に勝手に親近感を感じて★5つ。
ラズベリーブックス (2008/6/10)
恋心だけ秘密にして
★★★★★
【あらすじ】
三男コリンは、社交界一の人気者。だけど本当は人知れず、自分自身の将来に悩みを抱いていて…。そんなとき、妹の親友で幼馴染のペネロペのある秘密を知ってしまうコリン。
それをきっかけに、コリンとペネロペの仲は急接近していく。
ペネロペの秘密が暴露されそうになったときの、コリンの決断力。生きる力のある男!って感じですてき♡
【感想】
テーマは生涯をかけた仕事。裕福な貴族の三男坊で、お気楽に生きているように見えて自分探しに悩んでいたコリンが、地味な壁の花と思いきや実は秘密の才能を持っていたペネロペに羨望を感じながら惹かれていく…という、ちょっと変わったロマンス。
ヒストリカルでは珍しく2人の関係がフラットというか、友情のような同士のような感じもある愛の形というか。
好き嫌いのある作品だと思うのですが、こばとはとても好き。という1冊です。
ラズベリーブックス(2008/11/10)
まだ見ぬあなたに野の花を
★★★☆☆
【あらすじ】
次女エロイーズが主人公。コリンとは1歳違いで兄弟の中でも中がよかったエロイーズ。親友のペネロペとコリンが結婚することを知って、自分の居場所を探し始めたエロイーズは、文通相手の男性を訪ねることに。
エロイーズの文通相手のサー・フィリップは、妻を亡くし、腕白な双子の世話をしてくれる女性を探していて…ということで、お互いに手紙の上では気心がしれていた2人が、現実でも恋に落ちるようすとともに、大家族で育ったエロイーズが子どもたちの信頼を得て、最後にはサー・フィリップと結婚して家族になるまでが描かれています。
【感想】
時系列的には「恋心だけ秘密にして」と同時進行。エロイーズはコリン&ペネロペの婚約披露パーティを欠席して文通相手を訪ね、そのためエロイーズの結婚式のときにペネロペの秘密をまだ知らない…というシーンが登場します。読み終わってから「恋心だけ秘密にして」を読み返して確認したくなりました。
ラズベリーブックス(2008/11/10)
青い瞳にひそやかに恋を
★★★★☆
【あらすじ】
3女フランチェスカが主人公。社交界にデビューしてすぐにスコットランドの伯爵ジョンと恋に落ちて結婚し家を出ていたフランチェスカは、夫を病気で亡くし、お腹の赤ちゃんも流産してしまう。
新しく伯爵家を継ぐことになったのは、ジョンの従兄弟のマイケル。実はマイケルは、ジョンの婚約者として出会ったときから、一目でフランチェスカを好きになり、狂おしいほどに求めていて…。
【感想】
未婚女性は貞節が求められる時代、主人公は未亡人という設定なのでこのお話はブリジャートン・シリーズの中ではちょっとセクシー。体を合わせても、心は手に入らないことに苦しむマイケルの愛の深さは、感動的。愛する人を亡くす悲しみを経て、新しい愛へと踏み出すフランチェスカの心も、とても丁寧に描かれています。
ずーっと昔に読んだマンガ「サイファ」の中で、「愛って増えるものなのよ」というセリフがあったのを思い出したりも。
ラズベリーブックス(2009/11/10)
突然のキスは秘密のはじまり
★★☆☆☆
【あらすじ】
末っ子ヒヤシンスの物語。長兄たちの物語でおませな女の子として辛辣な口をきいていたヒヤシンスも、社交シーズン4年目に。ブリジャートン・シリーズに限らずジュリア・クインの物語によく登場するスパイス的な存在、レディ・ダンベリーの孫ガレスと出会い、一緒にガレスの屋敷に隠された秘密を解き明かすことに。そうするうちにヒヤシンスとガレスは恋に落ちるけれど、ガレスと彼の父親には大きな確執があり…。
【感想】
正直シリーズ終盤、お話はややもったりしてきた感じ。でも、母のお腹にいるうちに父親を亡くした末っ子のヒヤシンスに、特別な感慨を感じていた母ヴァイオレットとのエピソードが印象的でした。決して兄弟の中で差をつけるというわけではなくて、夫を亡くしたヴァイオレットにとって、お腹の赤ちゃんの存在が大きな支えになったんでしょうね。
ラズベリーブックス(2010/3/10)
夢の乙女に永遠の誓いを
★★☆☆☆
【あらすじ】
ラストは、グレゴリーの物語。
一目ぼれした女性ハーマイオニーには好きな人がいる、ハーマイオニーの親友のルーシーにそう告げられてもあきらめることができず、何とかしてハーマイオニーを振り向かせようとするグレゴリー。やがてルーシーとの会話を楽しむようになっていく。けれどグレゴリーが自分の本当に気持ちに気がついたとき、ルーシーは他の人との結婚が決まってしまい…。
ルーシーを取り戻したいグレゴリーのために、一緒に木登りまでしちゃうコリン♡
【感想】
ラズベリーブックスに多い感じのこの手のタイトルがじょじょに重く感じられてきてしまい、正直、内容があまり入ってこなかった1冊。
他の兄弟はもうそれぞれ家庭を持っているわけで、ブリジャートン・ファミリーっぽいシーンもあんまり…。
このお話の魅力は、ラストの10ページくらいに凝縮されているのかな、と。なんとグレゴリーが9人の子どもの父に!シリーズのラストをまとめるこのシーンのための1冊といってもいいくらい。
ラズベリーブックス(2010/7/10)
幸せのその後で ~ブリジャートン家後日譚~
★★★★☆
幸せのその後で
~ブリジャートン家後日譚~ (ラズベリーブックス)
【感想】
ブリジャートン・シリーズにはスピンオフ作品がたくさんありますが、こちらは本編に連なるおまけ的な1冊。兄弟それぞれの後日譚がちょこっとずつ描かれています。どれも短編なのであらすじの紹介は控えますが、ややできすぎかな?と思いながらもハッピーな気持ちになれる1冊でした。
ラズベリーブックス(2013/8/10)
ジュリア・クインの小説
ブリジャートン・シリーズ以外に読むなら?
ミランダの秘密の日記
★★★★★
【あらすじ】
容姿にコンプレックスのあるヒロインが、いつのまにか個性的な美しさを持つ女性に成長し、年の差のある初恋の人を一途に思い続ける…というストーリー。
すてきな人だったのに、最初の結婚でつらい思いをして、愛を信じられなくなってしまったヒーロー。ミランダの魅力に心奪われながら、愛することをおそれて体だけの関係を続けます。
良家の未婚女性は結婚まで貞節を守るのが当然だった時代、ミランダはやがて子どもを身ごもってしまい…。
【感想】
ヒーローのろくでなし加減が絶妙!でも、そうなってしまったのにはつらい事情があって…。そんなヒーローを一途に思い続けるヒロイン。最後には呪縛が解けるように気持ちが通じ合って。「誰かを愛すること」をていねいに綴ったロマンスの秀作でした!
ブリジャートン・シリーズでブレイクしたジュリア・クイン。
その後たくさんの小説が日本でも出版されていますが、初期の作品が掘り起こされて初邦訳…というケースも多く、当たり外れがあるのが正直なところです。
ジュリア・クインがKindle unlimitedで読み放題!?
2016~2017年にラズベリーブックスから発行されたジュリア・クインの小説が、Kindle unlimitedやブックパスなどの読み放題プランにもラインナップしているので、そちらでチェックしてみるのもお得かもしれません。(*2018年10月の情報です。読み放題のラインナップは随時更新されます)
ブリジャートンシリーズは残念ながら電子書籍化されていないものが多いので、読みたい!という方は古本を狙ってみては♪